ネットショップの売り上げアップを狙う中で効果的な改善ポイントとして挙げられるのが「カゴ落ち」についてです。
カゴ落ちは別名「カート落ち、カート放棄」とも呼ばれ、ネットショップを訪問したユーザーが、商品をカートに入れたにもかかわらず購入しないままサイトを離れてしまうことを指します。
ネットショップ運営に携わるうえで、カゴ落ちは絶対に把握しておきたいポイントといっても過言ではありません。
対策をしなければ「サイトを作って、アクセスはあるのに、売り上げにつながらない…」といった事態にもなりかねません。
目次
1.カゴ落ちとは?
カゴ落ちとは、ネットショップの訪問客が商品をカートに入れたまま購入せずにサイトから離脱してしまうことを指し、別名「カート落ち、カート放棄」とも呼ばれています。
ネットショップの売上をアップさせる要因の中でも、購入率(CVR)を大きく左右する部分なので、重要な改善ポイントとして注目すべき部分です。
2.カゴ落ち率の平均値
ネットショップを運営する中で必ずといっていいほど発生する「カゴ落ち」問題ですが、ショップで実際どれほどの訪問者がカゴ落ちしているのかを数値で表すものとして「カゴ落ち率」と呼ばれる指標があります。
基本的に、カゴ落ちの改善ポイントは、この「カゴ落ち率」の数字をいかに下げられるかが重要になります。
さて、そんな「カゴ落ち率」ですが、基準がわからなければ、どのように改善してよいかわかりませんよね?そのためにも、まずは世間一般のネットショップの平均値を知ることが大切です。
Baymard Instituteの調査資料「44 Cart Abandonment Rate Statistics」によると、世界のECサイトのカゴ落ち率の平均値は「69.80%」というデータが出ています。
これはおよそ7割近くの訪問者が、ネットショッピングをする中で商品をカートに入れたにもかかわらず、購入せず、ECサイトから離脱してしまっているということを表します。
また、株式会社イー・エージェンシーが行った「ECサイトのカゴ落ちによる機会損失状況の調査」によると、ネットショップの機会損失額は平均して売上の約2.5倍にのぼることがわかりました。
これは月商300万円のショップの場合、およそ約750万円の機会損失が発生していることになります。
3.カゴ落ちはなぜ起きる?知っておきたい理由
では、そもそもなぜカゴ落ちやカート放棄が発生してしまうのでしょうか?
Baymard Instituteの調査によると、58.6%のユーザーが「サイトを回遊していただけだった・買う準備をしていなかった」という理由でそのままサイトから離脱していると報告されています。
また、上記以外にもカゴ落ちの原因はさまざま。先程の例を含め、主に以下の11個が挙げられます。
参考資料: Baymard Instituteの調査資料「41 Cart Abandonment Rate Statistics」
4.カゴ落ちを改善する対策方法は?
ここまではカゴ落ちに至るまでの理由を紹介しましたが、ここからはカゴ落ち率改善のための対策方法を解説していきます。
今回はこの中でも特に、調査結果で30%以上の方に該当していた上位3つの理由に注目してみました。
・ただサイトを回遊していただけだった・今買う準備をしていなかった
・送料・税金・手数料などの追加費用が高すぎた
・購入する際にアカウント作成が必要だった
それぞれの理由と、対策方法について詳しく見ていきましょう。
・ただサイトを回遊していただけだった/今買う準備をしていなかった
日々のネットサーフィンの一環としてネットショップやさまざまなサイトを見て回り、気に入ったものがあったので買い物カゴに入れる。しかし現時点では買うつもりがないのでそのままサイトから離脱してしまう…というケースです。
カゴ落ちする理由としては58%以上と最も割合の多い結果に。この理由でカゴ落ちしてしまうお客さまは再訪・購入につながる可能性がもっとも高いので、ぜひ改善に取り組んでいきましょう。
対策1:カゴ落ちフォローメールなどを使いお客様にアプローチする
このケースでは、一度は気に入った・またはその時は手持ちがなかったためにカート放棄が行われているので、再度お客さまにアプローチをすることが効果的です。
例えばカートリカバリーのようなカゴ落ち対策専門のMA(マーケティングオートメーション)ツールを使って、カゴ落ちしたお客さまにメールを自動配信することでショップへ呼び戻し、売上につなげるといった方法があります。
最近の研究では、カゴ落ちメールを早く送るほど良い結果が得られることがわかっています。メールマーケティングエージェンシーのRejoinerは、プラットフォームにおける数百万のカートリカバリーメールを分析した結果、その事実を確認しています。分析の目的は、クライアントの収益を最大化できるベストなタイミングを探ることでした。
Rejoinerによると、1時間後のフォローアップメールの平均コンバージョン率は16%です。送信が早すぎると、もっと低いコンバージョン率となるでしょう。長く間をあけすぎると、さらに結果は悪くなります。
Rejoinerはさらに、最初のメールが一番効果があるものの、それだけですべてのカゴ落ちの売上ロスをカバーできないことを確認しています。もっとも収益を得るには、メールを3つのパートに分けることが推奨されます。
最初のメールは、カゴ落ちの1時間後に送信
2回目のメールは、カゴ落ちの 1日後に送信
3回目のメールは、カゴ落ちの 3日後に送信
Shopify メールを使用すると、上記のような一連のメール設定が簡単にできます。
では実際に参考になりそうな企業のカゴ落ちメールの事例を3例紹介します。
Casper
件名:何かお忘れではないですか?
Casperは、サイト上で何かを忘れたままにしているとカゴ落ちメールを送ります。「何かお忘れではないですか?」という件名は読み手の関心を引き、クリックを促します。
開封すると、楽しげでキャッチーな「ベッドに戻っておいで」というコピーに引き込まれます。
参照元:https://reallygoodemails.com/emails/leave-something-behind
Casperはメールをクリアで読みやすくしています。わかりやすく考えられたCTAボタンで読者を購入へと連れ戻します。また、メールには推薦の言葉を載せ、商品が投資に値することを示すと同時に、レビューの閲覧を促します。
Whisky Loot
件名:カートがシラフになっています
Whisky Lootのカートリマインダーメールはコミカルな事例です。お客さまがサブスクリプションボックスを買い忘れていると、「カートがシラフになっています」という件名のメッセージを受け取ります。これは一般的なパターンとは異なるため、開封率とコンバージョン率が上がります。
メールは質問で始まり、ウイスキーでできることがリスト化されています。どの項目もおもしろく、笑いがあって、ユーモラスな使用法を伝えています。Whisky Lootは最後にFAQセクションと「自分にご褒美を」というCTAボタンでメールを締めくくります。
参照元:https://www.shopify.com/blog/abandoned-cart-emails
Nomad
件名: Nomadの製品はすぐに売り切れます
Nomadのカゴ落ちメールもまた優れた事例です。件名は、読み手に「見逃しの不安(FOMO)」を与え、クリックを促します。ブランドらしい画像と遊び心のあるコピーがあり、カートをリカバリーする方法も説明されています。
また、一般的なペインポイントにも対応しています。「飛びこむのがこわい?」というコピーの下のセクションでは、返品ポリシーと2年保証の説明があり、読者の不安を取り除きます。同時にこのオファーによってメールに信頼感が付加され、ブランドが商品に自信をもっていることが示されています。
参照元:https://reallygoodemails.com/emails/leave-something-behind
3例ともそれぞれ特徴がありますので、ご自身のビジネスに合う部分を参考にしてみてください。
対策2:SNSなどを使って、接触の機会を持つ
このケースでは、商品は気に入ったが購入のタイミングが今ではないと判断されたことが多く、次にお客さまが買いたくなる瞬間を逃さないことが大切です。
そのためにもInstagramやLINE公式アカウントなどのSNSを使って、日ごろから関りを持つことが購買の機会獲得に繋がります。
また購入のきっかけを与えるために、キャンペーンを行うことも効果的です。ただし、あまり過度なキャンペーンや割引の多用はショップの利益やブランドイメージの低下に繋がりますので、注意が必要です。
対策3:リターゲティング広告を活用する。
対策の2のように、SNSでお客さまとの接触を図っていきたいが、実際にはリソースが割けない…などといった悩みを持たれるショップも多いのではないでしょうか?
こちらは先程の対策2を別の手法で補う方法になります
ECショップを運用されている方ならWeb広告を導入されている方も多いかと思いますが、リターゲティング広告はWeb広告の1つの手法です。
この手法では、自社のサイトに訪問したお客さまにだけ絞って、ピンポイントで広告を配信することが可能です。
こちらは広告費用がかかるものの、一度設定してしまえば、自動的に配信ができるため、手間を最小限に抑えつつ、興味の高いお客さまにアプローチするのにオススメな対策です。
・送料・税金・手数料などの追加費用が高すぎた
続いて、53%という高い割合を占めたのが「追加費用が高すぎる」というケースです。
商品金額を確認したうえでカートに入れてショッピングを進めたものの、請求金額の総合計の画面で「送料」や「消費税」、配送や支払い方法にかかる「手数料」などが商品の金額に加算され、その追加金額がお客さまの想定より高かったためにサイトから離脱してしまう…というパターンです。
対策4:送料無料にするなど追加費用を極力減らすか、事前に費用金額がわかるようにする
たとえば「送料無料」を導入するなど、理想はお客様にとってコストになる費用を減らすのも一つの手段です。
しかし単純に費用を削ってもショップの売上や利益に影響してしまうため、導入が難しい場合もあるでしょう。
そのため、
・送料をなくすのが難しい場合は、あらかじめサイト上に追加費用(送料や手数料)をわかりやすく表示する
・送料をなくすのが難しくても、可能な限り送料を下げる
・あらかじめ送料込みの商品代金を設定し、送料無料と表示する
などを検討してみてください。
最近のお客さまは、Amazonを中心とした送料無料というサービスに慣れ、ごく自然なものとして捉えつつあります。
そのため、冷蔵・冷凍の配送や、遠方への配送の場合、送料を全額請求されると高いなと感じ、購入の意欲をそがれてしまいます。
機会損失を防ぐためにも、追加料金の表示には細心の注意を払いましょう。
・購入の際にアカウント作成が必要だった
次いでカゴ落ち・カート放棄の理由として多かったものが「購入する際にアカウント作成が必要だった」というケースです。
ネットショップの中には、会員登録をせずとも購入可能なショップもありますが、中には会員登録をしないと購入ができないショップも多く存在します。
ネットショップ運営者からすると、基本的にお客さまには会員登録をしてもらいたいものですが、お客さまからすれば購入前の登録作業への心理的ハードルが高まってしまい、購入意欲が消えてそのままカゴ落ち、サイト離脱につながってしまいます。
対策1:会員登録なしでも購入できるようにする
一番の解決方法として、会員登録なしでも購入できるようにすることが挙げられます。
最近ではゲスト購入という表現に変えているショップが数多くあります。
実際には商品の発送に必要な情報はいただく必要があるのですが、表現によってお客さまが受ける印象は大きく変わります。
またその際、ショップからの案内メール等を受けるかを任意で選べるようにして、今後の関りの機会を得ることも大切です。
対策2:会員登録のメリットを伝える
会員登録の有無による離脱は、基本的には物理的なハードルではなく、心理的なハードルです。したがって端的いうと登録したい理由の方が勝れば、お客さま自ら進んで会員登録をしてくれます。
新商品の発売やクーポンの情報。またそれらの先行配信など、ちょっとした気づかいによる特別感は誰もが喜びます。
さらに規定数を設け、登録先着の方のみの特典を用意するなども有効な対策です。ご自身がサービスを受ける時、どのような点で喜びを感じるかで対策を決められるとよいでしょう。
対策3:会員登録を簡単にする
お客さまが会員登録を行っている時は、一番商品を欲しいと思っているタイミングでもあります。この時に、必要以上に多い情報を求められたり、入力が複雑だったりすると購買意欲がなくなってしまいます。
入力内容は最小限に抑え、会員登録フローを簡略化し、登録しやすいようにしておくことが大切です。
まとめ:カゴ落ち率改善には、その理由とお客さまの心理を把握して対応することが大切!
今回は「カゴ落ちとは」そして「カゴ落ちの理由や対策」についてご紹介しました。
さまざまな理由で発生するカゴ落ちですが、改善に手を付けるなら、まずは母数の特に多い
・ただサイトを回遊していただけだった・今買う準備をしていなかった
から見直してみてはいかがでしょうか?
カゴ落ちの多くの理由は、タイミングと心理的なハードルです。
積極的にお客さまの声を集め、ECサイトの改善に役立てていってください!
ECサイトは作成しただけでは十分に機能しません。
トライ&エラーを繰り返し、検証を進めてブラッシュアップしていく必要があります。
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一から知識なしでECサイトの運用を行うことは非常に大変です。
弊社ではECサイトに適した広告運用代行や、運用の内製化サポートなどさまざまなサービスを展開しております。
ECサイトの運用、獲得の最大化にお悩みの際は、ご連絡ください。
拙い記事ではございますが、最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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