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Google広告の入札戦略とは。特徴と活用方法をわかりやすく解説!
Google広告において、広告を有利な形でユーザーに表示するためには、同じ掲載枠に広告を掲載したい他社と比べて優れた広告を配信する必要があります。
リスティング広告において掲載順位は「広告の品質」と「入札」の2つの要素で決まります。その中でも「入札」の要素で他社よりも優位に立つために適切な入札戦略を選択する必要があります。入札戦略とは、他社とのオークションに勝ち、より効果の高い掲載面を獲得するために適切な入札方法を選び取ることを指しています。
入札戦略には、手動で入札単価を調節する「手動入札」と、Googleの学習機能で得たデータを使って自動で入札を実行する「自動入札」の2種類があります。自動入札では、クリック・コンバージョン・インプレッションシェアなど、重視する指標に合わせて様々な戦略を採用することができるようになっています。そのため、手動入札と自動入札の違いと活用方法を理解して、場面に合わせて適切な入札戦略を選択することが大切になってきます。
今回は、入札戦略の種類ごとにどのようなことが実現できるのか、その特徴と活用方法を解説します。
入札戦略の種類について
執筆時点(2021年10月現在)でGoogle広告において選択することができる入札戦略の種類は、検索広告では8種類、ディスプレイ広告では7種類となっています。
検索広告で選択することができる入札戦略は以下の通りです。
【手動入札】 「個別クリック単価」「拡張クリック単価」
【自動入札】 「目標コンバージョン単価」「クリック数の最大化」「コンバージョン数の最大化」「コンバージョン値の最大化」「目標広告費用対効果」「目標インプレッションシェア」
ディスプレイ広告で選択することができる入札戦略は以下の通りです。
【手動入札】 「個別クリック単価」「拡張クリック単価」
【自動入札】 「目標コンバージョン単価」「クリック数の最大化」「コンバージョン数の最大化」「目標広告費用対効果」「視認範囲のインプレッション単価」
それぞれどのようなものなのかを解説していきます。
クリック数の最大化(検索/ディスプレイ)
予算内で最大限のクリック数を獲得できるように上限クリック単価が自動的に調整される入札戦略です。さらに、クリック単価の上限を設定し、入札単価がそれを上回らないようにすることもできます。この上限を設定すると費用を細かく管理できますが、広告の掲載順位やクリック数が制約を受ける可能性があります。
例えば、個別単価の管理にかける時間がない時、運用初期段階でアクセスを増やしてデータの蓄積を優先したい時やキーワードやプレースメント毎に適切な入札単価が分からない時、とにかくサイトへのアクセスを増加させて認知拡大を図りたい時、などに有効です。
一方で、サイトへのアクセスを優先するため、流入するユーザーの質については、コンバージョンを目的とした入札戦略と比較すると悪化する可能性が高くなるため注意が必要です。
目標コンバージョン単価(検索/ディスプレイ)
指定したコンバージョン単価でコンバージョン数を最大限獲得できるように入札単価が自動調整される入札戦略です。この入札戦略を作成する際に、1 件あたりのコンバージョン単価を指定します。
例えば、目標コンバージョン単価を1,000円に設定した場合、平均1,000円でできるだけ多くのコンバージョンを獲得できるよう自動で入札単価が調整されます。基本的には過去30日間のコンバージョンのデータを使って自動学習するので、コンバージョンのデータが十分に蓄積されていない場合は、精度が低くなることがあります。
この入札戦略を採用することで、入札調整の手間と時間をかけずに目標とするコンバージョン単価の達成を目指すことができます。そのため、配信開始の初期段階ではなくデータがある程度蓄積して運用が安定した段階で活用するのがおすすめです。
その一方で、コンバージョンしやすいと思われるキーワードに対しては入札単価を高めに設定する機会が増えるため、手動入札やクリック数の最大化の入札戦略と比較して、クリック単価は高騰する傾向があります。
目標広告費用対効果(検索/ディスプレイ)
指定した目標広告費用対効果(ROAS)の範囲内でコンバージョン値が最大となるように入札単価が自動的に調整される入札戦略です。実際の広告費用対効果(ROAS)は、コンバージョンごとに目標を上回ったり下回ったりする場合がありますが、最終的には設定した広告費用対効果(ROAS)が達成されるように入札が調整されます。
ユーザーの検索が価値の高いコンバージョンに至る可能性が高いと判断された場合は、入札単価が高くなり、逆にその可能性が低いと判断された場合は入札単価が低くなる、という仕組みになっています。
例えば、商品A (1,000円)と商品B(10,000円)がある場合に、商品Aにばかり広告費が使われてしまい、商品Bが十分に売れない状態になると、広告の費用対効果は悪化します。
「目標広告費用対効果」の自動入札を活用することで、商品ごとに得られる売上の大小を考慮してGoogleのAIが入札を自動調整するので、高い費用対効果で配信することが期待できます。
コンバージョン数の最大化(検索/ディスプレイ)
指定した予算の範囲内で最大限のコンバージョン数を得られるように入札単価が自動的に調整される入札戦略です。この入札戦略をキャンペーンで採用する際に、目標コンバージョン単価を任意で設定することができます。目標コンバージョン単価を設定した場合は、「目標コンバージョン単価」の入札戦略を採用した場合と同様の挙動になります。
例えば、コンバージョン数を稼ぎたい時やコンバージョンのデータを蓄積したい時、目標とするコンバージョン単価の目安を把握したい時などに有効です。
予算に合わせて最も低いコンバージョン単価となるように入札単価を調整しますが、1日の平均予算を完全に使い切ることを目指すので、設定前の消化ペースが日予算を下回っている場合は消化ペースが大幅に伸びることがあります。そのため、設定後は予算の消化ペースには注意を払う必要があります。
コンバージョン値の最大化(検索)
指定した予算の範囲内で最大限のコンバージョン値を得られるように入札単価が自動的に調整される入札戦略です。この入札戦略をキャンペーンで採用する際に、目標広告費用対効果(ROAS)を任意で設定することができます。目標広告費用対効果(ROAS)を設定した場合は、「目標広告費用対効果」の入札戦略を採用した場合と同様の挙動になります。
例えば、予算の範囲内で売上をできるだけ多く増やしたい時や、利益率の異なる複数の商材を販売したい時、目標とする目標広告費用対効果(ROAS)の目安を把握したい時などに有効です。
予算の範囲内で最も価値の高いコンバージョンを獲得できるように入札単価が調整されるため、「コンバージョン数の最大化」の時と同様に、基本的には1日の平均予算を完全に使い切ることを目指します。そのため、設定前の消化ペースが日予算を下回っている場合は消化ペースが大幅に伸びることがあり、設定後は予算の消化ペースに注意を払う必要があります。
目標インプレッションシェア(検索)
Google 検索の検索結果ページの「最上部」「上部」「任意の場所」に広告が表示されるように入札単価が自動的に調整される入札戦略です。この入札戦略を採用する際に、「広告の掲載場所」「目標インプレッションシェア」「上限CPCによる入札の上限」の3つを設定することができます。
「広告の掲載場所」
⇒① 検索結果ページ→検索結果ページのどこか
② 検索結果ページの上部→検索結果の最初のページの上部
③ 検索結果ページの最上位→検索結果の最初のページの最上位
のいずれかを選択することができます。
「目標インプレッションシェア」
⇒ユーザーがキーワードで検索した際に、選択した検索ページのエリアに広告が表示される頻度を指定することができます。
「上限CPCによる入札の上限」
⇒各クリックに支払う上限額を設定できます。
例えば、自社名やサービス名・ブランド名などの指名キーワードで検索された時に上位表示させたい時、他の入札戦略ではクリック数が稼げない時、予算に余力があり認知拡大を図りたい時などに有効です。
「検索結果ページの最上位」に「目標インプレッションシェア100%」で「入札の上限1,000円」と設定した場合、入札の上限を1,000円としつつも最上部の表示機会が100%となるように入札価格が自動調整されます。基本的には上位表示を目指すため、入札単価を高めに設定する機会が増え、クリック単価は高騰する可能性が高いです。
視認範囲のインプレッション単価(ディスプレイ)
視認範囲の広告表示 1,000 回に対して支払い可能な上限額を設定し、その設定された金額に応じて入札単価が自動的に調整される入札戦略です。「広告面積50%以上が1秒以上画面に表示された時」に広告が視認範囲に表示されたとみなされます。
ディスプレイ広告ではユーザーのデバイスに広告が表示されていなかったとしても、ページを読み込んだ際に広告が含まれていれば1インプレッションという扱いになりますが、
この入札戦略を採用すればユーザーの目に触れたインプレッションに対して料金を支払うことができます。また、視認範囲で表示される見込みの高い広告枠を重視して入札が最適化されるというメリットもあります。
例えば、認知拡大を図りたい時、来店誘致などオフラインでの行動促進を図りたい時など、とにかく表示機会を増やし広告をユーザーの目に触れさせたい場合に有効です。
その一方で、表示機会重視なので、クリックやコンバージョンに結びつくユーザーばかりに配信される訳ではないので、その点は注意が必要です。
個別クリック単価(検索/ディスプレイ)
広告のクリック1回に対して支払い可能な上限額(上限クリック単価)を自身で設定し入札を手動で管理する入札戦略です。広告グループ全体の上限クリック単価(デフォルトの入札単価)の他にも、キーワードやプレースメント毎に個別の入札単価を設定することができます。コンバージョンを目的としたキャンペーンの場合、コンバージョン率の高いキーワードの入札単価を高く設定し、コンバージョン率の低いキーワードの入札単価を低く設定することで、広告全体の配信効率を改善することが期待できます。
例えば、初期段階で自動入札に必要なデータを蓄積したい時、キーワード・プレースメント・ユーザー属性・配信の時間帯などの情報を元に自分で入札価格をコントロールしたい時に有効な入札戦略です。
基本的には自己管理になるため入札調整に対してある程度の知識と経験が求められます。また、日々変化する環境に合わせて入札をこまめに調整する必要があるため、入札調整にある程度まとまった手間と時間を投じる必要があります。
拡張クリック単価(検索/ディスプレイ)
コンバージョン数またはコンバージョン値を最大化できるようクリック単価が自動的に調整される入札戦略です。コンバージョンに繋がる可能性が高い場合は手動で設定した入札単価が引き上げられます。一方で、コンバージョンの可能性が低い場合は設定した入札単価が引き下げられます。
拡張クリック単価は、基本的には個別クリック単価と同じような場面で利用すると有効に機能します。加えて、個別クリック単価と自動入札を組み合わせたような入札戦略なので、ある程度自己管理のもと入札調整しつつも、自動入札のような柔軟性を持たせることが出来る、という特徴があります。
拡張クリック単価を使えば、必要なタイミングで適切な入札調整が行われるので、個別クリック単価よりも時間と手間は削減できます。ただし、完全な自動入札ではないので、自己管理となる要素が大きく、入札調整に対してある程度の知識と経験が必要となります。
まとめ
以上、様々な種類の入札戦略について解説してきました。
広告開始時でコンバージョンを目的としている場合は「拡張クリック単価」、サイトへの流入を目的としているのであれば「クリック数の最大化」が適切ではないかと思います。そして、ある程度データが蓄積した段階で目的に合わせて他の自動入札への切り替えを検討する、という流れが良いのではないでしょうか。
Googleの学習機能は日々進化を続けています。将来的には自動入札だけで運用ができるようになるかもしれません。自動入札は手間がかからないという点で非常に便利ですが、データが蓄積されていない状況では効果が発揮できなかったり、キャンペーンの目的によってはそぐわない場合もあります。
したがって、現時点では自動入札に丸投げできないので、手動入札をうまく使いながら運用していくことが大切です。今回ご紹介した入札戦略の違いを理解して、適切な場面で適切な戦略を選択できるようになってください!
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*参考
Google広告ヘルプ:「クリック数の最大化」入札戦略について
Google広告ヘルプ:「目標コンバージョン単価制」入札戦略について
Google広告ヘルプ:目標広告費用対効果に基づく入札について
Google広告ヘルプ:「コンバージョン数の最大化」による入札について
Google広告ヘルプ:「コンバージョン値の最大化」入札戦略について
Google広告ヘルプ:目標インプレッション シェアによる入札について
Google広告ヘルプ:視認範囲のインプレッション単価について
Google広告ヘルプ:個別クリック単価制
Google広告ヘルプ:拡張クリック単価(eCPC)について