目次
はじめに
Meta広告の運用者の皆さんはAdvantage+クリエイティブをうまく活用できていますか?Metaが推奨するこの機能は一見便利そうに見えますが、「なんとなく」で設定してしまうと思わぬ形で広告が配信されることもあります。実際は多くの方がその機能を十分に理解していないかもしれません。
このブログでは、Advantage+クリエイティブの特徴や注意点をわかりやすく解説し、効果的に使うためのポイントをお伝えします。ぜひ最後までお付き合いください。
(*なお本ブログの情報は2024年9月時点の情報を元に作成しています。Meta広告はアップデートが頻繁に行われるため最新の情報はMeta広告のヘルプをご覧ください。)
Advantage+クリエイティブとは?
Advantage+クリエイティブは、広告のパフォーマンスを向上させるために導入された広告の自動最適化機能です。Meta広告マネージャーを通じて利用でき、画像や動画がユーザーにとって見やすくなるよう自動最適化され、オーディエンスがアクションを実行する可能性が高いバージョンに自動調整されます。
また詳細は後述しますが、最近ではAIを使った画像生成機能も追加されており日々進化を続けています。
エンハンスの種類は?
執筆時点の2024年9月現在では14種類の設定項目を選択することができます。広告を作成すると一部の推奨エンハンス(※注①)はデフォルトでオンになっています。
※注①:エンハンスとは一般的に「強化する」や「向上させる」という意味で使われます。Meta広告のAdvantage+クリエイティブにおいては「広告の視覚的な要素やパフォーマンスを向上させるための機能」という意味合いで使われます。したがって、エンハンス=機能というように訳して読み進めと良いでしょう。
①オーバーレイ(旧称: 画像テンプレート)を追加
②ビジュアルのタッチアップ
③音楽
④3Dアニメーション
⑤テキストの改善
⑥画像フィルター
⑦関連度が高いコメント
⑧カタログアイテムを追加
⑨画像の拡大
カルーセルフォーマットのみのエンハンス:
⑩プロフィールエンドカード
⑪ダイナミック説明
⑫カルーセルカードのハイライト
その他最近登場したエンハンス:
⑬オブジェクトを含む画像の背景生成
⑭あなたの広告クリエイティブからインスピレーションを受けたフル画像生成
以上の14種類が設定できるエンハンスになります。一つずつ解説していきます。
Advantage+クリエイティブ 各エンハンスの特徴と注意点を解説!
① オーバーレイ(旧称: 画像テンプレート)を追加
特徴:パフォーマンスが向上できる可能性が高い場合、選択された広告クリエイティブと一緒に、入力したテキスト(主に見出し)を表示するオーバーレイが追加されます。ビジュアルのタッチアップのエンハンスと組み合わせて配信される可能性があります。
配信面:Instagramモバイルフィード、Facebookリール、モバイルフィード、Instagramリール、Instagramモバイルストーリーズ
注意点:テキストのフォントや背景色はデフォルトが自動選択となっていますが、[フォントと色を調整]という項目で任意の設定が可能です。また、テキストの引用は、ランディングページのサイトに設定されたOpen Graphプロパティ(シェアした際に表示されるウェブページのタイトルや概要)などから引用されることもあります。
※Open Graphプロパティとは、SEO検索対策用にサイト内に関連するキーワードなどを設定した際に、SNS上でページのタイトルやURL、画像情報がユーザーの目にとまり、クリック率の上昇に伴うアクセス数の向上が期待できるものです。
上の写真は表示される6つのプレビューを並べたものです。言葉を選ばずに言うと、見栄えが良いとは言えないので弊社としては設定を非推奨としています。
② ビジュアルのタッチアップ
特徴:パフォーマンスを改善できる場合、広告クリエイティブの明るさ、色、アスペクト比を自動的に調整します。適切なビジュアルを使うと、広告をよく見てもらいやすくなります。
配信面:Instagramストーリーズ、モバイルフィード、Instagramフィード、Facebookリール
注意点:画像の色味については、システムおよびユーザーの機種デバイスによるが、基準は明確ではなく、Meta担当者の認識では明るくなるなどの程度とのことです。また、ユーザーの通信環境やデバイス機種などにより画像がトリミングされる可能性があり、正方形の画像が縦型にトリミングされる恐れもあるとのことです。
上の写真は表示される6つのプレビューを並べたものです。こちらは正方形の画像を設定した状態でのプレビューになっています。縦型配信面ではバナーの背景色を拡張することで違和感を解消しています。しかしながら、一番右のように画像のトリミングが間違っているケースもあるため、こちらの設定も非推奨になります。
③ 音楽
特徴:音声を使用するプラットフォームの使用感や見た目に合うように、広告に音楽が追加されます。Metaに音楽の選択を任せることも自分で選択することもできます。コンテンツに基づき、広告に合う音楽が選択されます。単一の画像やカルーセル広告が、リールなどの音声付き配置に配信される際に適しています。
配置:Instagramリール、モバイルフィード、Facebook動画フィード(動画タブ – モバイル)、Instagramフィード
注意点:
- 縦型動画には基本的に適用されないが、一部アカウントで試験的に表示テストをシステム担当部署で行っている可能性があり、その場合は縦型動画にも適用される可能性があります。
- GIF画像の形式で音を画像に埋め込んでいる場合、その音をかき消して音楽が流れます。
- 具体的な事例は見受けられないが、Meta担当者の個人的な考えでは、この機能をオンにすることで静止画のクリエイティブがリール面などに出やすくなる可能性が高いのでは?とのことでした。
- Metaに音楽の選択を任せた場合、システムによって自動選択されるため、ユーザーごとに異なる音楽が流れたり、配信日によって音楽が異なる可能性があります。
特にカルーセルの場合には閲覧される可能性が高まるため設定しても良いかと思います。ただしMetaの自動設定に委ねると思いがけない音楽が流れる可能性もあるため、利用する場合は必ず自分で音楽を選択することをおすすめします。
④ 3Dアニメーション
特徴:パフォーマンスを向上できる可能性が高い場合、画像に3Dモーションと奥行きを追加します。
配置:Instagramストーリーズ、Instagramフィード、Instagramリール
注意点:画像サイズや画質、画像デザイン等、様々な要素によって利用できるか否かが決まるものとなっており明確な基準はわかっていません。ただし、カタログ広告のようなシンプルな商品画像のみで、かつ、文字やそのほかのデザインが多く含まれていない画像では比較的適用できるようです。
多くの画像が対象外となっており実用性に難があります。開発途上の機能であり挙動が安定していないため基本的には非推奨です。
⑤ テキストの改善
特徴:入力されたメインテキスト、見出し、説明文のオプションをさまざまに組み合せて自動的に表示します。また、入力したテキストはいずれも、メインテキスト、見出し、または説明としていずれかの場所に表示される場合があります。
配置:Instagramストーリーズ、モバイルフィード、Instagramフィード
注意点:この機能はメインテキストや見出しの位置に変更を加えたほうが効果がありそう、とAIが判断した場合に限り特定の人にのみ適用されます。そのため、どのような場合にメインテキストに見出しが適用されるか等の挙動の予測が難しいものとなっています。また、メインテキストが見出しに入ることで、文字が表示しきれず見切れてしまうリスクがあります。
コメント:
メインテキストと見出しでは文字数が大きく異なることがほとんどだと思います。特にメインテキストは最初の1~2行にこだわって作成するケースも多く、位置が変わることによるメリットはほとんどありません。したがってこの設定も非推奨になります。
⑥ 画像フィルター
特徴:パフォーマンスを向上できる可能性が高い場合、画像に若干のフィルターが適用されます。
配置:Instagramストーリーズ、モバイルフィード、Instagramフィード
注意点:画像の色味や彩度の変更が加えられるものになっており、変更の程度や条件の明確な基準は公表されていません。
ユーザーの閲覧状況に合わせて画像を調整する機能となっています。色味が変わることで制作意図と異なる画像となる恐れがあり弊社では積極的な導入を見送っていますが、クライアントからの要望があればオンにしています。
⑦ 関連度が高いコメント
特徴:広告配信システムによって選択された広告へのコメントのうち、広告のパフォーマンスを向上させる可能性のあるものを優先的に上部に表示します。
配置:Instagramフィード、モバイルフィード
注意点:この設定はデフォルトでオンになっています。また、基本的にはポジティブなコメントのみ表示される仕様ではありますが、あくまで人間の目視での設定ではなくシステムによる自動設定のため、悪意のあるコメントが優先的に表示されるリスクもゼロではありません。
基本的にはクリエイティブに対してポジティブな反応が上部に表示される機能なのでオンで良いかと思います。ただし、「他のエンハンスを見る」というボタンを押さないと設定画面が出てこない上にデフォルトでオンになっているため、設定をオフにしたい場合には注意が必要です。
⑧ カタログアイテムを追加
特徴:パフォーマンスが向上する可能性が高い場合に、広告画像または広告動画の下にカタログのアイテムが表示されます。例えば、選択したメディアの下部に商品カードが表示される場合などがあります。Facebookモバイルフィードで広告が表示された利用者は、タップまたはクリックすることで、広告主によって設定されたURLに各カタログアイテムから直接移動できます。
設定方法の詳細はこちら
配置:モバイルフィード、Instagramモバイルフィード、Facebookリール
注意点:カタログが設定されていないアカウントの場合選択することができません。この機能は広告に関連するカタログおよび商品セットが自動的に選択されますが、[カタログを変更]を選択して、カタログと商品セットの確認や変更を行うこともできます。特にカタログを設定しているアカウントの場合、自動的にこの設定がオンになっている場合があり意図しない形で配信が出てしまうことがあるため必ず設定のオンオフを確認してください。
自動設定されるかなり厄介な機能です。AIがクリエイティブと似たカタログを自動選択します。似た見た目の商品を複数扱っている場合、別の商品のカタログが紐づけられてしまう恐れがありますので、オンにする場合はカタログの種類が間違っていないか必ずチェックしてください。。
⑨ 画像の拡大
特徴:より多くの配置に合うように画像を自動的に拡張します。パフォーマンスの向上が期待できる場合、拡張した画像と一緒にテキストオーバーレイが適用されます。新しいピクセルがスペースに合わせて自動生成されるため、フィードやリールなど、さまざまな広告配置で画像をより自然に見せることができます。
配置:Instagramフィード、Facebookリール、モバイルフィード、Instagramリール、Instagramストーリーズ
注意点:アカウントやクリエイティブによってはこの機能は選択できません。AIの画像生成機能によって拡張されるため「拡張された画像の完全性、信頼性、正確性に関して、Metaは一切保証しない」というルールになっています。
基本的には違和感のない形に画像が拡張される機能ですが予期せぬ挙動をすることで意図しない表示形式となる恐れがあります。挙動が保証されないことからも現時点では非推奨と判断しています。
⑩ プロフィールエンドカード
特徴:ページのプロフィール写真のカードが最後に追加されることがあります。またプロフィールカードに独自のURLを設定することが可能です。
配置:モバイルフィードに配信します。
注意点:FacebookとInstagramのカルーセル広告でのみ利用できる機能となっています。
ページのプロフィール写真などをアピールしたい場合はオンにします。逆にページのプロフィール写真などを特にアピールする必要がない場合は設定する必要はありません。
⑪ ダイナミック説明
特徴:カルーセルの詳細説明の部分を表示するかしないか、表示する場合はどのカルーセルで表示させるのか等をAIが自動的に判断する機能です。
注意点:適用条件など明確な基準が公表されていないため思いがけない挙動をする恐れがある。
あまり詳しいことがわかっていない機能になりますので無理にオンにする必要はないかと思います。
⑫ カルーセルカードのハイライト
特徴:最もパフォーマンスの高いカルーセルカードが、自動的に最初に表示されます。
配置:特になし
注意点:パフォーマンスの高さは、より広告の最終目標に結び付くよう(購入等であるならば、より最終目標の購入に結びつくかどうか、トラフィックなどの場合はその最終ランディングページとなるサイトへのアクセスの高さなど)広告の目的に応じた指標を基に決めています。
カルーセルカードの順番にこだわりがないクリエイティブであればオンにして良いかと思いますが、順番が決まっているクリエイティブの場合は必ずオフにしてください。
⑬ オブジェクトを含む画像の背景生成
⑭ あなたの広告クリエイティブからインスピレーションを受けたフル画像生成
AI画像生成の新機能です。 執筆時点では段階的な導入が行われており、アカウントによっては使用できない可能性があります。「オブジェクトを含む画像の背景生成」と「あなたの広告クリエイティブからインスピレーションを受けたフル画像生成」という2つの機能がありそれぞれ特徴が異なります。
オブジェクトを含む画像の背景生成
特徴:特定のオブジェクト(対象物)を含む画像を入力すると、広告システムが背景のバリエーションを生成します。基本的に商品画像のビジュアルUPを想定した機能で、対象物が判別できないような画像では利用することができません。
引用:
Metaビジネスヘルプセンター Meta広告マネージャで画像のバリエーションを生成する
あなたの広告クリエイティブからインスピレーションを受けたフル画像生成
特徴:参考にしたい画像をメディアエディターからアップロードすると、広告システムが背景の色や含まれるオブジェクトなどの要素が類似した新たな画像を生成します。
引用:
Metaビジネスヘルプセンター Meta広告マネージャで画像のバリエーションを生成する
注意点:生成画像に広告クリエイティブの特定のオブジェクトが含まれるようにしたい場合は、フル画像生成ではなく背景生成を使用してください。
今回紹介した2つの機能ですが以下のような場合で使い分けることを想定しているようです。
商品画像→背景生成
商品画像以外→フル画像生成
フル画像生成の方は参考画像の商品と類似したものを生成するので、あくまで「イメージ画像」を作る機能になります。したがって、明確に広告したい商品が決まっている場合や商品画像を広告にする場合はフル画像生成が使えません。なおフル画像生成は将来的に動画生成できる状態まで目指した機能とのことで今後の進化に注目が集まります!
まとめ
14種類のエンハンスを紹介させていただきました。
最終的には「③音楽」「⑦関連度が高いコメント」については推奨ですが、その他のエンハンスは現時点では非推奨です。しかし、今後進化が進み使いやすさが改善する可能性はあるためアップデートに注意していく必要があります。
Advantage+クリエイティブは、広告運用において非常に強力なツールですが、正しく理解し活用することが重要です。各エンハンスの特徴や注意点を知ることで、広告の効果を最大限に引き出すことができます。また、新たに導入されたAI画像生成機能も、クリエイティブの幅を広げる大きな要素です。これらのポイントをしっかり押さえ、効果的な広告運用を目指していきましょう。今後のMeta広告の進化にも注目しながら、常に最適な戦略を見つけていくことが成功への鍵となります。