GoogleやWebマーケティングに興味がある人や関わったことがある人なら、「DSP」という言葉を聞いたり、「DSP広告」の導入を検討したりすることがあると思います。
DSP広告もいろいろな業者やメニューがあり、色々迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。本記事では、難しい話はなるべく避けてDSPとDSP広告について説明していきます。
目次
「DSP」について
1.DSPの概要と登場した背景
この記事を読んでいる方は「DSP」が何のことかわからないという人も多いのではないかと思います。かくいう私も、この業界に飛び込んだばかりの時は「Display」の文字を取っているのかと思っていました。
「DSP」はツールのことで、Demand Side Platform (=広告主向けのプラットフォーム) の略称です。一言でいうと、Web広告を配信したい広告主が、広告効果を最大化するためのプラットフォームのことです。
インターネット普及当時、色んなサイトにの広告を掲載したい場合は、そのサイトごとに自分で交渉して広告枠を購入するしかない状態でした。また、データ分析の手法も明確ではなく、何にどんな風に広告費が使われているか効果のほども不明瞭でした。
しかし、技術の進化やスマートフォンの登場で情報収集や購入がWeb上で頻繁に行われるようになると、広告主や代理店側も顧客の属性や好みを取得することができるようになり、データの分析が可能となりました。そうなると、より獲得見込みの高い顧客に広告を配信して費用対効果が求められてきます。サイトごとに広告枠を購入しながら、分析もしていくとなると工数も非常にかかってきてしまい、代理店の負担が大きくなってきます。この負担をなくそうと開発されたものが「DSP」です。
DSPは、広告主が狙いたい属性のターゲットユーザーに対して、リアルタイムに広告枠の入札を行えるという特徴があります。また、業者も複数ありそれぞれに特徴があるので、サービスや商品、業種やターゲティングしたいユーザーにあわせて最適なものを選定することができます。DSPは主に「人」の属性に特化したシステムだといえます。
2.GDNやYDAとの違い
ここで、ふと疑問に思われた方もいたのではないでしょうか。GoogleやYahooのディスプレイ広告の違いは何なのかと。「GDN」や「YDA」は、「アドネットワーク」というシステムを利用して配信をしています。アドネットワークとは、webサイトやブログ、SNSなど、複数メディアの広告枠を束ねているネットワークのことです。GoogleやYahooなどの、配信する媒体のネットワークに加盟しているメディアに一括して配信することができるようになっており、広告に関する各種データも収集できるようになっています。DSPでは主に「人」をターゲティングするのに対して、アドネットワークは「配信面」をターゲティングすることが主な違いといえるでしょう。
ただし、最近は技術が発展してきていることもあり、DSPでも豊富な配信面がある一方で、アドネットワークも色々な興味関心や属性にターゲティングできるようになってきています。
DSP広告の特徴・メリットと主な業者
1.DSP広告の特徴とメリット
この「DSP」というツールを利用して配信する広告を、「DSP広告」といいます。そのDSP広告の特徴とメリットを紹介していきます。
①独自のデータやアルゴリズム、配信手法がある
DSP業者ごとに保有しているデータは違い、機械学習のアルゴリズムも異なるので得意な広告主やターゲティングが異なります。美容に強いDSP業者もいれば、ECサイトに強い業者やBtoBに強い業者など様々です。
どういったサービスや商品を配信したくて、ターゲティングは何が適切で、どんな配信手法を取りたいか明確にした上で配信するDSP広告は選びましょう。
②ニッチなユーザーに配信することができる
アドネットワーク広告では設定できない、細かいユーザー設定ができるのも大きな特徴です。
特にBtoBは検索広告だとかみ合わせが悪い場合が多く、予算に余裕があるならDSP広告を視野に入れてもいいのではないでしょうか。
③媒体やメニューによって最低出稿金額や手数料がある
アドネットワーク広告は、極端にいうと月に10,000円でも配信は可能です。しかし、DSP広告は最低出稿金額があったり、別途手数料が発生したりする場合があります。
最近では出稿金額を設けていない業者が多くなってきましたが、メニューによってはある場合がありますので事前に聞いておいた方がいいでしょう。
2.主なDSP広告業者の紹介
①Logicad(ロジカド)
ソニーグループの優れた技術を基に開発した国産DSPです。
人工知能「VALIS-Engine」により、性別・年代・興味・行動傾向などを高精度に設定し、ターゲティングすることが可能です。ターゲティングメニューや掲載先も非常に豊富であるため、細かく調整を入れたい場合に最適です。
また、広告が不適切なサイトやコンテンツに表示されることを防止する施策をしていたり、分析に関するオプションが充実していたりするなど、広告主にとっても嬉しい機能があることも特徴です。
②Criteo(クリテオ)
フィードとAIによるリマーケティングが優秀な通販向けDSPです。
非常に豊富で独自的なコマースデータを保有しています。そのデータとフィードを基にして、バナーとリンク先を商品毎にAIが適切な⾒込み客や顧客に向けて自動作成・最適化してくれます。
運用もAIが主に行い、入札調整、最適な相手へのリマーケティングを行える媒体です。⽇本における通販サイト売上上位100社のうち、85%以上がCriteoを導入しているといわれており、商品数やアクセス数が多い場合は前向きに取り入れていくべき媒体です。
③UNIVERSE Ads
業界特化型のマーケティングデータプラットフォームと多数接続しており、特定の業界やユーザー属性向けのターゲティングが可能なことが大きな特徴です。
「自動車」「製薬」「エンタメ」「コスメ」「美容」「飲料・食品」「観光・旅行」「 不動産」「大学」といった業界のほか、「BtoB」ターゲティングや「位置情報」「母親」「富裕層」といったターゲティングも可能です。獲得施策は苦手としていますが、GoogleやYahooに次ぐ配信ネットワークを持っており、クリック単価が非常に安いことに自信を持っている媒体です。
④ADMATRIX DSP
BtoBマーケティングに強みを持っており、多彩なターゲティング機能を提供しています。
国内最多のIPデータ量と、特許出願技術による「国内の企業、業種に対してターゲティングができる」DSPを持っていることが最大の特徴です。企業ターゲティングや役職ターゲティングなどが可能で、BtoB商材に非常に強い媒体といえます。
他に類を見ない精度の高いターゲティングが可能な分、他のDSPに比べるとクリック単価が高い傾向にありますが、検索キーワードなどを設定しにくいBtoB商材では前向きに検討していい媒体です。
④ADMATRIX DSP
国内最大級の広告在庫を確保しており、圧倒的なリーチ力が特徴のDSPです。
月間 8,500 億インプレッションを超える広告在庫を保有しており、AI学習機能を用いて最適なユーザーと広告枠を選出してマッチングを行い、配信します。このことからブランド認知施策に長けています。
ブランドセーフティ機能にも力を入れており、不適切な広告枠への配信を行わないことはもちろん、画面内に1秒以上表示されない場合は配信を促さないといったようなインプレッションに関する保証も行っています。
DSP広告をうまく活用して顧客の利益を伸ばしていきましょう
今回はわかりやすさを重視してこの記事を作成しました。DSPとDSP広告について少しでもご理解いただければ嬉しいです。
さて、既存の検索広告やディスプレイ広告、SNS広告だけでは頭打ちになってしまったり、ターゲティングがなかなか難しい場合には、DSP広告を検討する必要があります。
しかし、GoogleやYahoo、Meta広告などはユーザーの生活に紐づいているもので、多くの人が目をする機会はDSP広告を配信するよりも多いため、まだなにもWeb広告を配信したことがない場合はメジャーなアドネットワーク広告から押さえていってもいいと思います。
自分の広告や顧客の広告を何のために配信するのか、それをちゃんと考えた上で配信する媒体を選んでいきましょう。