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【2025年最新・Web広告運用者向け】Meta広告「バリュールール」徹底解説

はじめに

Web広告の運用者の皆さん、日々の運用でこんな悩みを抱えていませんか?

「コンバージョン数は取れているのに、なぜか利益が伸びない…」

「LTV(顧客生涯価値)の高いユーザーにもっと配信を寄せたいが、AI任せだとコントロールしきれない」

Meta広告の自動最適化は優秀ですが、放っておくと「件数は取れるけれど質が低い」ユーザーばかりに配信が寄ってしまうことがあります。そんなあなたに朗報です!

Meta広告には、AIの学習に「量」だけでなく「質」や「利益」の視点を組み込める「バリュールール(Value Rules)」という機能が存在します。これは、広告主がビジネス上の優先度をシステムに直接伝えられる革新的な手法です。

このブログでは、Meta広告のバリュールールについて、その仕組みから設定方法、そして成果を出すための具体的な活用法までを徹底解説します。

(*なお本ブログの情報は2025年11月時点の情報を元に作成しています。バリュールールは一部機能制限がある場合があるため、最新の情報はMeta広告のヘルプをご覧ください。)

この記事はこんな人におすすめ!

  • CPAは合っているが、売上や利益率が改善しない方
  • Advantage+セールスキャンペーン(ASC)をさらに最適化したい方
  • 特定の年齢層やエリアのユーザーを「えこひいき」して配信したい方
  • LTV(顧客生涯価値)を重視した運用にシフトしたい方

バリュールール(Value Rules)とは?その仕組みと目的

バリュールールの定義

バリュールールとは、自動最適化機能を利用して広告配信を行う際、特定の条件(オーディエンスや配置など)に対して広告主自身が「相対的な価値」を設定し、入札価格を調整できる機能です。

従来のビッドマルチプライヤーの上位互換版として機能し、特にAIが主体となるAdvantage+セールスキャンペーン(ASC)において、収益性を高めるための重要な役割を果たします。

「利益重視のナビゲーションシステム」

この機能を分かりやすく例えると、「自動運転車に搭載する利益重視のナビゲーション」と言えます。

通常のMeta広告のAI(自動運転車)は、「最も早く目的地(コンバージョン数)に到達すること」を最優先します。しかし、バリュールールを設定することで、「目的地に着くまでに、一番品質の良いガソリン(高LTV顧客)を給油できるルートを通ってください」と、AIのハンドルを戦略的に誘導することができるのです。

調整のイメージ

広告主はあらかじめ条件を設定し、その条件を満たした配信に対して入札価格を増額または減額します。

・調整可能範囲: -90%から最大+1000%
・非該当のユーザー: 無調整で入札

これにより、単なる「件数」ではなく、「利益」や「LTV」に基づいた入札が可能になります。

設定可能な条件と要素分解

バリュールールで設定できる条件(ディメンション)は以下の通りです。これらを組み合わせることで、精度の高いコントロールが可能になります。

① オーディエンス: 年齢(18~24/25~34/35~44/45~54/55~64/65+)、性別(女性/男性)

② 場所: 地域、市区町村、国、都道府県など

③ 技術的要素: モバイルOS(Android/iOS)、デバイスプラットフォーム

④ 配置・コンバージョン: Facebook/Instagramのフィード、ストーリーズ、リールなど。

※条件の組み合わせについて: 1つのルールセット内で、条件を最大2つまで組み合わせることができます。(例:「20-24歳女性」×「Instagramリール」など)

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Meta広告のAIは「安く件数を取ること」に関しては天才的ですが、それが「儲かる客」かどうかまでは判断できません。バリュールールは、この「AIの盲点」を人間が補完するための必須機能です。「件数は取れているのに利益が出ない」という悩みの根本原因はここにあることが多いので、導入は強く推奨されます。

導入のメリットと具体的な活用シナリオ

バリュールールを導入する最大のメリットは、広告の最適化を単なる「量」から「質(利益)」へと進化させられる点にあります。

メリット

LTV(顧客生涯価値)の向上: 利益に貢献しやすい層に高い価値を設定することで、優良顧客の獲得を強化できます。

ROASの改善: 利益率の高い顧客に予算を集中させ、不要なセグメントを抑制します。

AIの強みを最大化: 自動化のパワーを損なわずに、ビジネス戦略(利益重視)をAIに学習させることができます。

活用シナリオの例

ECサイトの場合: 過去データで「45〜54歳の女性」のリピート率が高いことが判明している場合、この層の入札を増額設定します。ASCと組み合わせることで、収益性の高い顧客層へAIを誘導します。

B2Bリード獲得の場合: 営業所のあるエリアや、ビジネス利用が多い配置(Facebookフィードなど)からのリードに高い値を割り当て、成約率の高い見込み客を優先します。

モバイルアプリの場合: iOSユーザーの課金率が高い場合、iOS経由のコンバージョン値を「+200%」などに調整し、高収益ユーザーの獲得に予算を集中させます。

設定方法と「優先順位」の重要性

設定の手順

Meta広告マネージャの「広告設定」または「広告セットの設定画面」から設定します。

設定の手順は以下の記事をご覧ください。

Meta広告:バリュールール設定の手順を解説!

【重要】ルールの優先順位

ここがバリュールール運用の心臓部とも言える重要なポイントです。 複数のルールを設定し、同じユーザーが複数の条件に該当する場合、「リストの最上位にあるルール(1番目の適用ルール)のみ」が適用されます。それ以降のルールは無視されます。

例: ルール1:東京都の女性は+20% ルール2:iOSユーザーの女性は+50%

この場合、「東京都に住むiOS利用の女性」に対しては、ルール1の+20%のみが適用されます。

どの条件を最優先したいのかを明確にし、ルールの並び順を戦略的に決定することが成功への鍵となります。

【重要】利用条件と運用上の注意点

バリュールールは強力な機能ですが、いくつかの「落とし穴」も存在します。これらを理解せずに設定すると、思わぬ事故に繋がります。

利用できないケース(*要注意*)

バリュールールは、以下の入札戦略や目標とは併用できません。

・結果の単価目標(CPA目標)
・ROAS目標
・手動入札(入札価格上限)
・コンバージョン値の最大化

つまり、「最低入札単価(最高ボリューム)」などの戦略で使用する必要があります。

運用上の3つの注意点

データ不足での利用は非推奨: 十分な配信データがない状態でルールを設定すると、配信が狭まりすぎるリスクがあります。

学習期間の発生: ルールを変更するとAIの再学習が入ります。数日から1週間程度は成果が不安定になるため、短期的な判断は禁物です。

CPAの上昇: 価値の高いユーザー(競合も狙っているユーザー)を狙うため、全体的なCPA(獲得単価)は上昇する可能性があります。しかし、LTVや利益で見ればプラスになる設計が必要です。

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張り切って細かすぎる設定をする方がいますが、設定の過度な細分化はAdvantage+の自動最適化を阻害するため現時点では非推奨です。 最初は係数を「+10%~20%」程度から開始し、大きく動かしすぎないことがコツです。「CPAが上がった!」と慌てて停止せず、その奥にある利益率を見ることが重要です。

成果を出すためのバリュールール活用法

最後に、バリュールールで失敗しないためのポイントをまとめます。

1. データ量が鍵!まずは分析から

「なんとなく」で設定するのは危険です。まずは過去のレポートを分析し、「どの年齢層のリピート率が高いか」「どのOSの課金率が良いか」というファクトを掴んでから設定しましょう。

2. 焦らない運用を

AIに新しいルール(価値観)を教え込むには時間がかかります。設定直後の一時的な数値悪化に動じず、十分な学習期間を与えてください。

3. レポートで答え合わせ

広告マネージャのレポートで「値のルールの内訳」を確認しましょう。予算が意図した通りに価値ある層へシフトしているか、定期的なチェックが必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。要点を整理すると、以下の通りです。

・Advantage+セールスキャンペーン(ASC)との相性が抜群で、LTV向上に貢献する。
・優先順位の設定が非常に重要で、上にあるルールが優先される。
・CPA目標やROAS目標とは併用できないため、入札戦略の確認が必要。
・予期せぬ挙動を防ぐため、スモールスタートで検証を行うこと。

Cookieレス時代において、AIにいかに「自社にとっての正解」を教え込めるかが、競合との差をつけるポイントになります。ぜひこの記事を参考に、バリュールールの活用にチャレンジしてみてください。きっとあなたの広告運用が、よりビジネスの利益に直結するものへと進化するはずです!

もし、バリュールールの設定や戦略的な設計に行き詰まりを感じたら、私たちプロの広告運用代理店にご相談ください。貴社のビジネスに最適なルール設計をご提案し、成果最大化のお手伝いをさせていただきます。

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北澤陽介

都市銀行での営業、社会保険労務士法人での中小企業のコンサルティングの経験を経てSTAR株式会社に入社。現在は年間約1億円規模のGoogle・Yahooリスティング広告やMeta広告などSNS広告の運用に携わる傍ら、WEB広告のインハウス化支援サービスの事業責任者も務める。

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