目次
はじめに
「ペルソナ設定」について、こんな悩みはありませんか?
- どこから手をつけていいか分からない
- アンケートや顧客の声など、分析するデータがない
- 結局「こんな人だといいな」という想像や願望になってしまう
そもそも、なぜペルソナ設定は重要なのでしょうか?
Webマーケティングでペルソナが重要視されるのは、それが施策の「ブレをなくす共通のモノサシ」になるからです。
よく「ターゲット」と混同されがちですが、この二つは違います。
- ターゲット:「30代の働く女性」といった、属性で区切った「層」のこと。
- ペルソナ:「佐藤さん、35歳。時短勤務のWebデザイナーで、5歳の息子がいる。効率を重視するが、子供との時間も大切にしたい」といった、具体的な「個人」のこと。
「層」で考えてしまうと、施策はぼんやりしてしまいます。でも、「佐藤さん」という「個人」を思い浮かべることで、チーム全員が「佐藤さんならどう感じるだろう?」「どのSNSで情報収集するかな?」と、具体的な顧客目線で判断できるようになります。
これが、本当に響くメッセージを生み出す土台になります。
AIが「勘」や「手間」の悩みを解決する
とはいえ、ペルソナ設定は重要だと分かっていても、分析するデータがなかったり、時間と手間がかかったり、「本当にこの人で合ってる?」という不安が常につきまといますよね。
従来は、多くの顧客インタビューやアンケート分析が必要で、時には作成者の「こんなお客様だったらいいな」という「勘」や「思い込み」が入ってしまうことも課題でした。
こうした「手間」や「思い込み」といった悩みを解決するのが、AI(ChatGPTなど)を活用した「データドリブンな設計」です。
AIを活用することで、これらの課題を劇的に改善できます。
- 圧倒的なスピードと効率化
本来なら数日かかることもある市場リサーチや分析、アイデア出しを、AIが数十秒から数分で実行してくれます。 - 「思い込み」の排除と客観性の獲得
AIは、あなたが入力した基本情報と、学習済みの膨大な市場データを組み合わせ、客観的な分析結果や仮説を提示してくれます。これにより、「社内の思い込み」を排除しやすくなります。 - 「データ不足」の解消
もし「分析できるアンケートデータがない」という場合でも、AIが市場全体の傾向から「典型的な顧客像」を仮説立てて生成してくれるので安心です。
もちろん、AIがすべてを決めるわけではありません。AIが提示した「客観的な案」を基に、最後は人間が議論し、仕上げていく。この「AI(効率化・客観性)」と「人間(最終判断・共感)」の組み合わせこそが、現代の最も強力なペルソナ設計の手法と言えるでしょう。
この記事では、手元に顧客データがない状態でも、自社の「基本情報」を基にAIが市場を分析し、客観的なペルソナ像を描き出す、プロも実践する5つのステップをご紹介します。
少し大変なリサーチ作業はAIに任せて、あなたは「本当に顧客に響く施策」を考えることに集中してみませんか。ぜひ、お手元でAIツールを開き、ご自身のビジネスに当てはめながら、実践してみてください。
作業を進める上での大切なポイント
このプロセスでは、AIとのチャット(スレッド)を、最初から最後まで同じものを継続して使用します。 これにより、AIが対話の文脈を記憶してくれるので、分析の精度がぐっと向上していきます。
ステップ1:【準備】AIに、あなたの会社の「基本情報」を伝える
【目的】
AIを「優秀な外部のマーケティング戦略家」として育てていきましょう。まず、貴社の事業内容や市場での立ち位置といった「基本情報」を正確に伝えることで、精度の高い分析の土台を築きます。
【やること】
まずは、以下の項目について、貴社のビジネス情報を整理してみましょう。情報が具体的であるほど、AIの分析精度も格段に向上します。
- 会社名: [貴社名]
- 商品名・サービス名: [サービス名]
- 商材カテゴリ: [例:オンラインスクール、BtoB SaaS、食品EC]
- ターゲット(大まかで大丈夫です): [例:30代~50代の〇〇な方]
- 私たちが考える独自の強み: [例:初心者でも利用しやすい、サポートが手厚い]
- お客様が抱えていそうな課題: [例:〇〇したいが時間がない、〇〇にコストがかかっている]
- サービスでできること: [例:〇〇により時間を短縮、〇〇でコストを削減]
- 実績やお客様からの評価: [例:導入実績〇〇社、メディア掲載実績]
- 主な競合(2〜3社)とそれぞれの強み: [例:A社は価格が魅力、B社は機能が豊富]
【プロンプト】
情報がまとまったら、AIツールに以下のようにお願いしてみましょう。[ ] の部分を、先ほどまとめた情報に書き換えて送信するだけです。
こちらの情報をお渡しします
あなたは、クライアントのビジネスを成功に導く、プロのWebマーケティングコンサルタントです。 以下のクライアント情報をしっかりと理解し、覚えてください。
クライアント情報
会社名: [貴社名]
商品名・サービス名: [サービス名]
商材カテゴリ: [カテゴリ]
ターゲット: [ターゲット]
独自の強み: [強み]
ターゲットの課題: [課題]
サービスによる解決策: [解決策]
実績: [実績]
競合と強み: [競合情報]
情報を理解したら、「理解しました。次の指示をお待ちしています。」とだけ返信をお願いします。
【解説】
AIから「理解しました」と返信があれば、準備は完了です。AIは貴社の基本情報をしっかりインプットしてくれました。この優秀なパートナーと共に、次の市場分析に進んでいきましょう。
ステップ2:【分析】AIに「市場とターゲット」を分析してもらう
【目的】
ステップ1で伝えた「基本情報」だけを基に、AIに市場のチャンス、競合との違い、そして狙うべき「お客様層」の解像度を上げてもらいましょう。お客様アンケートなどのデータがなくてもAIが仮説を立ててくれます。
【やること】
以下のプロンプトをコピーして、先ほどのAIチャットに続けて送信してみてください。
【プロンプト】
ありがとうございます。では、先ほどお伝えした情報をもとに、以下の項目について詳しく分析をお願いします。
分析項目
- 市場のチャンス: このビジネスにおいて、これから伸びそうな市場やニーズはどこにあるでしょうか?
- 差別化のポイント: 競合ではなく、このクライアントが選ばれるための「独自の提供価値(UVP)」は何だと思いますか?
- 主なターゲット層の具体化: 最も力を入れるべきお客様は、どのような方でしょうか?以下の要素を含めて、具体的に教えてください。
- どんな人か: 年齢、性別、職業など
- 価値観や気持ち: 何を大切にして、何を求めているか
- 具体的なお悩み: どんなことに困っているか
- 情報の集め方: 普段どんなメディアを見ているか
【解説】
いかがでしょうか。ご自身で漠然と捉えていたターゲット像が、AIによって、より具体的でシャープな言葉で表現されたのではないでしょうか。この客観的な分析結果が、次のペルソナ作りを支える大切な土台になります。
ステップ3:【生成】AIに具体的な「ペルソナ」を描いてもらう
【目的】
ステップ2で明確になった「ターゲット像」をもとに、AIに「具体的な一人の人物像=ペルソナ」を作成してもらいましょう。これにより、チームの皆さんが「〇〇さんのようなお客様ですね」と、共通のイメージを持って施策を考えられるようになります。
【やること】
以下のプロンプトをコピーし、AIチャットに続けて送信します。
【プロンプト】
素晴らしい分析をありがとうございます。
それでは、ステップ2で具体的になった「主なターゲット層」を代表する、最も重要だと思われるペルソナを1名、以下の項目で詳しく作成してください。その方が本当に実在するように、具体的なエピソードも交えてお願いします。
ペルソナ作成項目
- 基本情報:名前、年齢、性別、職業、住まい、家族構成
- 人柄や価値観、ライフスタイル
- 情報の集め方(SNS、雑誌、Webサイトなど)
- ペインポイント(お金を払ってでも解決したい、根深いお悩み)
- インサイト(ご本人も気づいていないかもしれない本音や欲求)
- サービス利用前の状況(Before)
- サービス利用後の理想の状態(After)
- 心を動かす決め手となる価値
- その方が使いそうな「口癖」や印象的な言葉
【解説】
まるで本当にいるかのような、リアルな人物像が浮かび上がってきたのではないでしょうか。このペルソナが抱える「ペインポイント」や「インサイト」にこそ、あなたのビジネスをさらに成長させるヒントが隠されています。
ステップ4:【物語化】ペルソナの「サクセスストーリー」を創作する
【目的】
生成したペルソナが、実際にどのようにサービスと出会い、課題を解決していくのかを「物語」として具体化します。このサクセスストーリーは、ペルソナの感情の機微や意思決定のプロセスを深く理解するための強力なツールとなり、チーム全体の共感を促します。
【やること】
ステップ3で作成したペルソナが、Web検索などを通じてサービスを認知し、最終的に契約に至るまでの具体的な行動と心理描写を、AIに創作させます。
【プロンプト】
ステップ3で作成したペルソナ([AIが作成したペルソナ名])が、Web経由で私たちのサービスを知り、興味を持ち、比較検討を経て、最終的に契約に至るまでの「サクセスストーリー」を2000字以内で創作してください。
ストーリーには、以下の要素を必ず含めてください。
- 抱えていた具体的な悩みや課題(Before):どんな状況にフラストレーションを感じていたか。
- 認知のきっかけ:どんなキーワードで検索し、どのようにしてサービスにたどり着いたか。
- 興味を持ったポイント:サイトのどの情報に特に惹かれたか。
- 比較検討:競合サービスと比べて、どの点を魅力に感じたか。
- 契約の決め手:最終的に「これだ!」と思った瞬間はどんな時か。
- 契約後の未来(After):サービスを利用して、どのように悩みが解決され、理想の状態に近づいたか。
特に、各段階におけるペルソナの感情(不安、期待、安堵など)が豊かに表現されるように、詳細な心理描写をお願いします。
【解説】
ここで生成される物語は、単なる空想ではありません。これまでAIが分析してきたデータに基づいた、「起こりうる未来の顧客体験」のシミュレーションです。このストーリーを読むことで、チームメンバーは「〇〇さんは、こんな気持ちでサービスを選んでくれたんだ」と、顧客のインサイトをより深く、感情的に理解することができるようになります。
ステップ5:【視覚化】ペルソナの「ビジュアル」を生成する
【目的】
テキスト情報のみだったペルソナに具体的な「顔」を与え、よりリアルで記憶に残りやすい「実在の人物」として仕上げます。顔写真があると、チームで共通のイメージを持ちやすくなり、「この人ならどう思うか?」という顧客視点の思考を後押しします。
【やること】
ステップ3で定義したペルソナの属性(年齢、性別、職業、性格、ライフスタイル)を元に、ChatGPT(DALL-E 3機能)を使い、ペルソナのビジュアルを直接生成します。
【プロンプト】
ありがとうございます。
ステップ3で作成したペルソナ([AIが作成したペルソナ名])の人物像を元に、ビジュアル(顔写真)を生成してください。
次の条件を必ず満たすようにしてください。
- スタイル: 非常にリアルなポートレート写真(photorealistic portrait)
- 人物像: ステップ3で定義した年齢、性別、職業、性格、背景が反映されていること。
- 表情: [ペルソナの性格に合った表情。例:穏やかで知的な笑み、少し物憂げな表情など]
- 背景: [ペルソナの職業やライフスタイルに合った背景。例:モダンなオフィス、自然光の入るリビング、作業現場など]
- 構図: 正面からのバストアップ
- 画像サイズ: 正方形
- その他: 日本人(Japanese)であること。
【解説】
一枚の顔写真は、数百語の説明よりも、その人の人物像を具体的にイメージさせてくれます。この「視覚化」はペルソナ設計の最終仕上げです。チーム全員が同じ「顔」を思い浮かべて議論することで、施策のブレがなくなり、一貫性のある活動につながります。ChatGPTに依頼するだけで、あなたのチームだけの「〇〇さん」が誕生します。
まとめ:AIは「最強の相談相手」、最終決定は「あなた」が行う
この記事では、AIを活用し、手元にデータがなくても自社の基本情報からペルソナを設計する、実践的な5つのステップをご紹介しました。
今回の重要なポイントを、改めてまとめますね。
- ステップ1:【準備】 まずAIに詳細な「自社情報」を伝え、前提条件を揃えること。
- ステップ2:【分析】 AIに「市場とターゲット」を分析してもらい、客観的な視点を得ること。
- ステップ3:【生成】 分析に基づき、具体的な「ペルソナ」を描いてもらうこと。
- ステップ4:【物語化】ペルソナの「サクセスストーリー」を創作してもらうこと。
- ステップ5:【視覚化】ペルソナの「ビジュアル」を生成してもらうこと。
AIは、ペルソナ設定における「リサーチ」や「アイデア出し」を、驚くほどの速さで手伝ってくれる、強力な戦略的パートナーです。しかし、最終的にそのペルソナを信じて施策を実行し、お客様と向き合うのは、他の誰でもない「あなた」自身です。
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